2025年も残すところあとわずかとなりました。今年も文学界では多くの作品が生まれ、話題を呼びました。今回は2025年の主要な文学賞の受賞作と、ベストセラーとして多くの読者に支持された作品をまとめてご紹介します。年末年始の読書タイムにいかがでしょうか?
第173回 直木賞・芥川賞(2025年上半期)
2025年上半期は、直木賞・芥川賞ともに、残念ながら該当作なしという結果になりました。芥川賞と直木賞の両方が該当作なしとなるのは、1998年の第118回以来、実に27年ぶりの出来事です。候補作をご自身で読んで、自分の大賞を選んでみてはいかがでしょうか?
直木賞 ノミネート6作品
- 逢坂冬馬『ブレイクショットの軌跡』(早川書房)
- 青柳碧人『乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO』(新潮社)
- 芦沢央『嘘と隣人』(文藝春秋)
- 塩田武士『踊りつかれて』(文藝春秋)
- 夏木志朋『Nの逸脱』(ポプラ社)
- 柚月裕子『逃亡者は北へ向かう』(新潮社)
芥川賞 ノミネート4作品
- グレゴリー・ケズナジャット『トラジェクトリー』(文學界6月号)
- 駒田隼也『鳥の夢の場合』(群像6月号)
- 向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』(文藝春季号)
- 日比野コレコ『たえまない光の足し算』(文學界6月号)
2025年下半期(第174回)の芥川賞・直木賞の候補作は2025年12月中旬に発表予定で、受賞作は2026年1月中旬に決定する見込みです。引き続き注目していきましょう!
2025年 本屋大賞

全国の書店員が投票で選ぶ本屋大賞。2025年の大賞は、阿部暁子『カフネ』(講談社)が受賞しました!
家事代行サービスを舞台に、さまざまな事情を抱える人々が「食」を通じて心を癒し、前を向いていく姿を描いた本作。現代社会の課題に真摯に向き合いながら、読後に温かい気持ちになれる作品として、多くの書店員から支持を集めました。
2025年に売れた本
2025年の小説部門で最も売れた本も、阿部暁子『カフネ』(講談社)でした。
年間総合ベストセラーでは、児童書の『大ピンチずかん3』(鈴木のりたけ作/小学館)が第1位を獲得。子どもから大人まで楽しめる「あるあるピンチ」の描写がユーモラスで、シリーズ累計270万部を超える大ヒットとなっています。
文庫部門では、吉田修一『国宝』(上下巻/朝日新聞出版)が映画とともに話題となり爆発的に売れました。
2025年の読書トレンドは「ウェルビーイング(心身の健康と幸福)」
今年のヒット作を振り返ると、読者が単なる娯楽や刺激ではなく、「心の栄養となる読書体験」を求めていることが分かります。
本屋大賞を受賞した『カフネ』は、家事代行という仕事を通じて、人々が抱える孤独や困難に寄り添い、食事を共にすることで心を通わせていく物語。現代社会で失われがちな「人と人とのつながり」や「日常の中の小さな幸せ」を丁寧に描き、読む人の心を温めてくれます。
ビジネス書部門でも、自己成長・生活改善に関する本が上位を占めました。これらは単なる成功本ではなく、「自分らしく生きる」「無理なく豊かに暮らす」という、持続可能な幸福を追求する内容が支持されています。
今をどう生きるか、何を大切にするか・・・「ウェルビーイング(心身の健康と幸福)」が、2025年の読書トレンドと言えるでしょう。本を読むことで心を整え、自分を大切にし、周りの人と温かくつながる――そんな本が求められているのでしょうね。