「寄り道の研修」を用意できる会社は、人材が育つ~業務直結だけが研修ではない~

経営者や人事担当の皆さまが研修を企画するとき、まず頭に浮かぶのは「現場で役立つ研修」ではないでしょうか。
営業力強化、マネジメントスキル、コンプライアンス。どれも必要不可欠で、成果が見えやすいものです。

しかし、研修にはもう一つ大切な役割があります。
それが 「寄り道型の研修」 です。

寄り道型研修とは?

寄り道型研修とは、目の前の業務にすぐには直結しないけれど、長期的には人と組織を強くする学びです。

  • 異なる分野の知識に触れる
  • 異なる意見に耳を傾ける
  • 部署を越えた対話を体験する
  • 自分のキャリアや価値観を見つめ直す

こうした経験は短期的な成果につながりにくいため、後回しにされがちです。
しかし実際には、社員の「考える力」「対話力」「変化対応力」を育て、数年後の会社を支える基盤になります。

なぜ寄り道型研修は避けられるのか?

OJTを始めとする 業務直結型研修 が、どの会社においても主流になっています。
一方で、寄り道型研修は「業務時間外に自己責任で参加するもの」という風潮がいまだに強い。
この結果として、寄り道型研修に参加できる人とできない人の差が積み重なり、キャリアの二極化を生んでいるとも言われています。

では、なぜ寄り道型研修は避けられてしまうのでしょうか?

1.忙しさが最大の理由

社員が寄り道型研修を避ける一番の理由は、やはり 「忙しいから」 です。
日々の業務に追われ、目の前の仕事を片づけることが最優先になる。
「研修に出るくらいなら、その時間で仕事を進めたい」と考えるのは自然なことです。

2.成果が見えづらい

人事や経営層の視点から見れば、寄り道型研修は 「成果が定量化しにくい」 という課題があります。
業務直結型研修なら「売上が伸びた」「ミスが減った」といった数字で効果を説明できます。
しかし寄り道型研修は、参加直後に数字として成果が現れにくい。
「視野が広がった」「考え方が柔軟になった」といった効果は、アンケートで把握できてもKPIにはしづらいのです。

3.投資対効果が説明しづらい

「今期の売上にどう貢献するのか?」という問いに答えにくいため、予算を取りにくいのも実情です。
「やりたいけれど上層部に説明がつかないから見送ろう」と判断されやすいのです。

4.短期志向の企業文化

多くの企業では四半期や年度ごとに成果を求められます。
そのため「今すぐ効く施策」が優先され、寄り道型研修のように 長期で効いてくる投資 は後回しにされがちです。

それでも寄り道が必要な理由

ところが実際には、寄り道型研修こそが キャリアの二極化を防ぐカギ になります。
業務直結だけを積み重ねる人は「今の業務では強いけれど、環境が変わると力を発揮できない人材」になりやすい。
一方で、寄り道研修を経験した人は「柔軟に新しいことに挑戦できる人材」へと育ちやすい。

結果として、寄り道型研修に参加したかどうかがキャリアに大きな差を生みます。

だからこそ企業として「寄り道の学び」をどう位置づけるかは、人材育成戦略の大きなテーマなのです。

人事が用意できる最大のサポートは“言い訳”

ここで人事が果たせる大きな役割があります。
それは、社員が安心して参加できる “言い訳” を会社として用意すること です。

「この研修は未来のリーダー育成の一環です」

「社内コミュニケーション強化プログラムです」

「キャリア自律を支援する公式研修です」

こうした意味づけを人事が提示するだけで、社員は堂々と寄り道できるようになります。
寄り道を「会社が認めた正しい学び」にすること。これが人事担当者の大きな役割です。

もう一つ大事な言い訳は、「会社から言われたから参加しています」 です。

一見後ろ向きな発言に聞こえるかもしれません。
しかしこれは、当人の合理性を超えた機会や経験を提供しているという点で、実は非常に意味のあることです。

つまり、「会社が背中を押す」ことは、社員にとって得難い成長の機会を与えることにほかなりません。

ワンブックシェアリングは“寄り道型研修”の最適解

私たちが提供している 「ワンブックシェアリング」 は、まさに寄り道型研修の好例です。

一冊の本を読み、要約し、対話とワークを通じて学びを深める

すぐに業務に直結するわけではない。
しかし「自分の考えを言葉にする力」「他者と対話する力」「新しい視点を得る力」が確実に身につく。

ワンブックシェアリングは明日から実践できる行動も生まれますが、未来を育てる種をまく場でもあります。
この種はすぐに芽を出さなくても、時間をかけて確実に成長し、やがて大きな成果として組織を支える力になります。

「幸せな人生について考えよう」
「スポーツの世界からマネジメントを考える」
「アドラー心理学から考える、人間関係をラクにする関わり方のヒント」
など書籍を元にした様々なテーマで開催しています。

「普段研修に出ない層が楽しそうに参加していた」

「部署を越えた対話が自然に生まれた」

「研修後すぐに部下への接し方を変えたという声があった」
といったフィードバックをいただいています。

まとめ:寄り道は未来の近道になる

人材育成の世界では「近道」も大切ですが、それ以上に「寄り道」が効いてくる場面があります。
寄り道があるからこそ、社員は新しい視点を持ち、柔軟に変化に対応し、長期的に活躍できる人材へと成長するのです。

「寄り道の研修」を社員に用意できるかどうか。
それが、これからの企業の人材戦略を分ける鍵になると、私たちは考えています。

ワンブックシェアリングは、その寄り道を正しく支援する研修です。
ぜひ次の研修ラインナップに加えていただき、御社の未来を支える人材育成の一助としていただければ幸いです。

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