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“自分の考えを大切にしたい気持ち”と”結果や効率を求められる現実”の間での『揺れ』
忙しく、価値観も多様化する現代においては、何を軸に判断するべきだろうと迷う瞬間はないでしょうか。
目の前の人との関係を大切にしたい気持ち、自分の考えを大切にしたい気持ちと結果や効率を求められる現実の間で揺れる場面が少なくありません。日々の小さな判断の積み重ねが、仕事の質や人間関係を形づくっているからこそ、この“揺れ”は誰にとっても身近なものです。
今回開催した地域版ワンブックシェアリングでは、渋沢栄一の『論語と算盤』を題材に「自分なりの思考の軸を見つめ直す」というテーマで開催しました。
参加者の中には、「渋沢栄一といえば1万円札の人、というイメージしかなかった」という声もありました。しかし読み進めるうちに見えてきたのは、単なる歴史上の人物ではなく、現代の働き方や経営に深く通じる考え方を持った人物であるということです。
渋沢栄一が再び注目されている背景
渋沢は、「論語=道徳」と「算盤=経済」は対立するものではなく、むしろ両立させるべきものだと考えました。正しさだけでは社会は回らず、利益だけを追えば信頼が崩れる。その両方を同時に成立させることこそが、持続的な価値を生むという視点です。この考え方は、効率や成果が強く求められる現代において、改めて大きな意味を持ち始めています。
実際に近年、渋沢栄一が再び注目されている背景には、社会や企業を取り巻く環境の変化があります。
パーパスやウェルビーイングといった言葉に象徴されるように、短期的な利益だけでなく、社会的価値や持続性、信頼といった要素が重視される時代になってきました。
その中で、「どうすれば正しさと成果を両立できるのか」という問いが、あらゆる現場で浮かび上がっています。
そうした中で、100年以上前にその本質を捉えていた渋沢の思想が、現代においても示唆を与えてくれるのです。
「知る」で終わらない、「考え、行動につながる」ワークショップ

当日は、参加者それぞれが本の一部を読み、要点をまとめた後に共有。
その後の対話では、「正しさを大切にすると時間がかかるが、信頼につながる」「地域だからこそ結果や反応が近く、やりがいもあるが難しさもある」といったリアルな声が多く上がりました。また、「上司の在り方や判断が、そのまま組織の“正しさ”になる」という意見もあり、立場によって見え方が変わることも印象的でした。
特に印象的だったのは、「正しさだけでも、成果だけでも続かない」という気づきです。短期的な成果だけを追えば関係性は壊れやすくなり、正しさだけを重視すれば結果が伴わないこともある。そのどちらかではなく、“どうバランスを取るか”こそが仕事の質を決めているのではないか。そんな共通認識が生まれていきました。

最後は、「自分的 論語と算盤」を考えるワークを実施しました。
参加者はワードリストの中から、自分にとって大切にしたい価値を2つ選び、「自分の仕事の軸」として言語化していきます。
「つながりと学び」「健康と余白」「信頼と成果」「思いやりと効率」「新しさと古さ」など、その組み合わせはさまざまですが、そこにはそれぞれの経験や価値観が色濃く表れていました。
ある参加者は「迷ったときに立ち返る言葉ができた」と話しており、単なる理解にとどまらず、行動につながる手応えを感じている様子でした。
正解はありません。しかし、自分なりの軸を持つことで、日々の判断や選択は少しずつ変わっていきます。そしてその積み重ねが、自分なりの納得感に繋がり仕事や人生の質を高めていくのではないでしょうか。
今回のワンブックシェアリングが、参加者一人ひとりにとって「知る」で終わらない、「考え、行動につながる」きっかけになっていれば嬉しく思います。
もし渋沢栄一が現代社会を見たとしたら
渋沢栄一の著作は、どれも読みごたえのあるものが多く、一見すると難しく感じる部分もあります。しかし、その中には現代社会で働く私たちにとって大切な視点が数多く含まれています。
だからこそ、私達はこれからも渋沢を題材にしたワンブックシェアリングを通じて、ただ知識として学ぶのではなく、自分の仕事や生き方に引き寄せて考える機会をつくっていきたいと考えています。
時代が大きく変わった今、もし渋沢栄一が現代社会を見たとしたら、どんなことを思うのでしょうか。
そしてその問いは、そのまま私たち自身の働き方や在り方を見つめ直すきっかけにもなるのかもしれません。
今後も、こうした対話を通じて自分の軸を見つけていく場を届けていきます。次回の開催や企業研修についても、ぜひお気軽にお問い合わせください。
