アドラー心理学の「課題の分離」を職場で考える~人間関係がラクになるヒント~

「なんで分かってくれないんだろう」
「もっと主体的に動いてほしい」
「部下のためを思って言っているのに伝わらない」
職場では、こうした“人間関係の悩み”が尽きません。
上司と部下、先輩と後輩、同僚同士。
仕事は一人ではできないからこそ、コミュニケーションに悩む場面は少なくありません。
そんな中、近年あらためて注目されているのが、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方です。
書籍『嫌われる勇気』の大ヒットでも広く知られるようになったこの考え方ですが、実際の職場ではどのように活かせるのでしょうか。
今回は
「課題の分離」を通して、職場の人間関係やコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

なぜ職場の人間関係はこんなに疲れるのか
~アドラー心理学で考える~

職場の人間関係が苦しくなる理由の一つに、「他人を変えようとしてしまうこと」があります。
例えば、
• 部下にもっとやる気を出してほしい
• 若手に主体的に動いてほしい
• 上司に自分の気持ちを分かってほしい
• 同僚にもっと協力してほしい
• どうして自分ばかり…
こうした思いは、誰にでもあるものです。
もちろん、相手を思う気持ち自体は悪いことではありません。
ですが、人は「自分ではコントロールできないもの」を変えようとすると、とても疲れてしまいます。
そしてその疲れが、
「なんで分かってくれないんだろう」
「認めてほしい」
という承認欲求の苦しさに繋がり、メンタルヘルスの問題へと結びついてしまう事もあります。

アドラー心理学の「課題の分離」とは

アドラー心理学では、人間関係の悩みを整理するために「課題の分離」という考え方を用います。
これは簡単に言えば、
「その問題は誰の課題なのかを分けて考える」
というものです。
アドラー心理学では、こんな問いを使います。
「その結果を最終的に引き受けるのは誰か?」
例えば、部下が仕事に取り組むかどうか。
最終的にその結果を引き受けるのは、部下本人です。
上司はサポートや助言はできます。
しかし、「やるかどうか」までを完全にコントロールすることはできません。
つまり、
• 教えるのは上司の課題
• 行動するのは部下の課題
ということになります。
この線引きを意識することで、人間関係は少しラクになります。

職場でよくある“他人の課題”問題
~若手育成・上司部下の悩み~

部下がやる気を出さない
「もっと主体的に動いてほしい」
多くの管理職が感じる悩みです。
ですが、“やる気になる”かどうかは本人の課題でもあります。
もちろん、環境づくりや声かけは大切です。
しかし、相手の気持ちそのものを支配することはできません。
「なんとか変えなければ」と抱え込みすぎると、上司側が苦しくなってしまいます。

若手がすぐ辞めてしまう

最近は、若手育成の難しさを感じる企業も増えています。
「せっかく育てたのに辞めてしまった」
「もっとフォローできたのではないか」
そう感じることもあるでしょう。
ですが、最終的に“辞める”という決断をするのは本人です。
もちろん、組織として改善すべき点はあります。
しかし、「相手の人生そのもの」を背負いすぎてしまうと、必要以上に自分を責めてしまいます。

「分かってほしい」が苦しくなる

人間関係で最も苦しいのは、「自分の気持ちを分かってほしい」という思いかもしれません。
ですが、どう受け取るかは相手の課題でもあります。
どれだけ丁寧に説明しても、相手には相手の価値観や経験があります。
だからこそ、「完全に分かり合う」は難しい。
その前提を持つことが、実はコミュニケーションをラクにしてくれることがあります。

「課題の分離」は“冷たくなること”ではない

ここで誤解されやすいのが、「じゃあ他人に興味を持たなくていいの?」という点です。
ですが、アドラー心理学の「課題の分離」は、無関心になることではありません。
大切なのは、
• 相手を支配しない
• でも放置もしない
という姿勢です。
相手の課題に土足で踏み込まず、でも必要な時には支える。
これは簡単なことではありません。
だからこそ、コミュニケーションには“正解”ではなく、“対話”が必要なのだと思います。

「わかり合えない」から始まるコミュニケーション

私たちはつい、
「話せば分かるはず」
「ちゃんと説明すれば伝わるはず」
と思ってしまいます。ですが、本当にそうでしょうか。
人はそれぞれ違う経験をし、違う価値観を持って生きています。
だからこそ、最初から「完全には分かり合えないかもしれない」と考えてみる。
すると、コミュニケーションは「説得」ではなく、「理解しようとする対話」に変わっていきます。
職場でも同じです。
相手を変えようとするほど、人間関係は苦しくなることがあります。
だからこそまずは、「これは誰の課題なのか?」を整理してみる。
それだけでも、人との関わり方が少し変わるかもしれません。

読書と対話で、自分の課題を見つめる

アドラー心理学は、知識として知るだけではなかなか実践できません。
だからこそ大切なのが、「アウトプット」と「対話」だと私たちは感じています。
本を読み、自分の考えを言葉にし、他者の視点に触れる。
その中で、
「自分はどこまで相手の課題を背負っていたのか」
「なぜ苦しくなっていたのか」
「こんな視点もあったのか」
と気づくことがあります。
人間関係の悩みは、すぐに消えるものではありません。
ですが、「課題を分けて考える」という視点を持つだけでも、少し肩の力を抜いて人と向き合えるようになるのではないでしょうか。
一方で、アドラー心理学に興味はあっても、
「難しそう」
「本を読んだけどよく分からなかった」
「知識としては理解できても実践が難しい」
と感じる人も少なくありません。
だからこそ私たちは、“読むだけで終わらせない”ことを大切にしたワークショップ「ワンブックシェアリング」を開催しています。
本を読み、自分の言葉で伝え合い、対話し、ワークを行う。
一人で読むだけでは気づけなかった視点に触れながら、アドラー心理学を“自分ごと”として学んでいく時間です。
「心理学を学ぶ」というよりも、「人との関わり方を考える」。
そんな感覚に近いかもしれません。
もしこの記事を読んで、
「少し気になる」
「参加してみたい」
「自社でも実施してみたい」
「一人ではなく対話しながら学んでみたい」
と感じた方は、ぜひお気軽にご参加・ご相談ください。
あなたは最近、“誰の課題”で悩んでいますか?

※アドラー心理学についてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
アドラー心理学入門 ~よりよい人間関係のために~ 開催レポート – 一進堂「BOOK to ACTION」

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