いま若い世代で、オススメ本をランキング形式で紹介したり、読後の感想を豊かな表情で投稿する動画の投稿が流行しています。シンプルな行動でありながら、その影響力はあなどれません。
特に海外では #BookTok のタグをつけて投稿する文化がトレンドとなり、書籍販売数にも大きな効果を与えています。
この流行から、個人の読書習慣だけでなく日本企業内での読書文化・人材育成へのヒントも探ることができます。
SNSならではの”感情まるごと”の言葉が伝わる
従来の書評や書店のPOPは、どちらかというと「この本はこういう内容です」という説明が強く印象に残るものでした。
一方でSNSでの動画投稿は「私はこの本を読んでこう感じた」と強く訴えます。数十秒〜数分の動画の中で、笑った、共感した、泣いた、考え方が変わった、この本だけは全員に読んでほしい——そんな”感情まるごと”の言葉が飛び交います。
誰かに『面白いから絶対に読んでみて!』と言われたら、読んでみたくなります。
また、その本を読んだことがある人同士が離れていてもリアルタイムで会話ができ、感想を言い合える部分がSNSならではの魅力です。
“専門家”ではない身近な誰かの言葉が信頼性を持つ
興味深いのは、SNSは“普通の人”が発信しているところです。実は専門家の推薦より、自分と近い誰かの「これ、よかった」という声のほうが、行動につながりやすいことは心理学でも証明されています。
これは心理学で「パラソーシャル関係」と呼ばれ、現実には面識のない相手に対して、一方的に親近感やつながりを感じる心理的な人間関係を指します。時にネガティブな文脈で語られることもありますが、インフルエンサーマーケティングの文脈ではポジティブに捉えられます。
ファンがインフルエンサーに親近感や憧れの感情を抱き、「同じ商品を使いたい」「同じ体験をしたい」と感じることによって、一般的な広告とは異なる強い”行動を促す効果”が期待できるからです。つまり、誰でも知っている有名人よりも、身近な誰かの言葉のほうが、人を動かせる力を持っているのです。
これは本に限った話ではありません。映画でも、レストランでも、新しいサービスでも——「広告で見た」より「友人に勧められた」ほうが、試してみようという気持ちになりやすく、マーケティングの世界では「口コミは広告の2〜10倍の信頼性がある」とも言われています。#BookTok が教えてくれるのは、そんな“人から人へ”の伝播の力です。
日本企業へのヒント
この流行からわかることは、人は感情が動いた経験を自然に人に話したくなり、その話を聞いた相手を行動させる力もあるということです。
個人に限った話ではなく、日本企業内でも「感情を伝えあえる場所」があると読書文化・人材育成にポジティブな効果をもたらします。
例えば『最近読んだ本や気になった記事』を強制せずにシェアできる場を設けたり、休憩スペースや共有エリアに本を置いて読者の一言コメントカード(オリジナルPOP)を添える。
本を普段読まない方も興味を持ったり、本を通して自然と語りあえる場が生まれることで、自然なコミュニケーションが生まれます。
大切なのは『語りたくなる』こと
本には人を感動させる力があります。そんな感動をより多くの人に浸透させるために大切なのは、仕組みより「語りたくなる雰囲気」をつくることです。
社内で読書文化を根付かせたい、コミュニケーションの場を設けたい企業様は、是非お気軽にご相談ください。一進堂は書店として80年、時代と共に変化する書籍の流行や、時代が変わっても普遍的な読書の魅力を感じ取ってきました。
企業内図書館の設置(選書もご希望に応じてサポートいたします)、著者を招いた講演や読書型ワークショップを各地で開催しています。